一般社団法人日本琺瑯工業会

ほうろうについて

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ほうろうに使われる金属の種類と用途

 ほうろうにつかわれる金属の大部分は鉄です。鉄は、鋼板と鋳物があり、用途によって使用されています。鋼板は、ほうろう用につくられたものを使用します。鋳物は一般にねずみ鋳鉄が使用されます。アルミや銅がつかわれることもあります。さらに、工芸品の分野では、金や銀がつかわれます。これら、銅、銀、金などをつかった工芸品ほうろうは「七宝」と呼ばれています。また、工業機器用のほうろうを「グラスライニング」とよんで区別しています。

 

 金属の種類と主たる用途をまとめるとは下表のようになります。

          金属の種類           
用途
鉄系 ほうろう用鉄板
ほうろう素地の大部分を占める。 様々なほうろう製品に利用。鍋、システム キッチン等の台所家庭用品。
外壁、 サニタリー用品等の住宅建材。反応器、 タンク等の工業機器。
鉄系 鋳鉄
主に鋳物浴槽、家庭用器物に利用。
鉄系 ステンレス
家庭用品、機械部品、耐熱機器等に利用。
鉄系 Alメッキ鋼板 (アルミナイズド鋼板)
建材、ホワイトボード゙等に利用。 アルミ同様に低温焼成。
アルミニウム
軽量かつ加工性に優れる。Alの融点が 低いため低温焼成。
水道メーターの文字盤や工芸品向け。 七宝 
金・銀
工芸品、メダル向け 七宝

鋼板ほうろう

ほうろう用鋼板と密着について

 

 現在、最も一般的なほうろうは、鋼板ほうろうです。ほうろう用鋼板は、通常の鋼板とは別に、ほうろうのために特別に工夫された鋼板です。ほうろう用鋼板の特徴は、機械的性質(成形性や溶接性等)と、ほうろうの欠点(ピンホール、泡、剥離等)の発生しにくい特性を両立させたところです。 機械的性質(成形性や伸び)を優れたものにするためには、固溶元素(炭素[C]・窒素[N])の含有量を極力少なくする必要があります。一方、ほうろうの欠点(特に爪飛び[ガラス層の剥離の一つ])を抑制するためには、鋼中に粗大な析出物・介在物をつくりこむ必要があり、析出物・介在物を形成する金属元素とCSN等(高酸素鋼では酸素[O]も)を適量含ませる必要があります。下図は、高酸素鋼中の介在物・析出物を示し、「μm オーダーのMnO」(左)と「数百μm オーダーのCrMnO4 」(右)が見られます。一般の鋼板では、μm オーダーの粗大な析出物は存在しません。

  高酸素鋼(NKP1D)の介在物・析出物

ほうろうの密着は、ガラス(ほうろううわぐすり)と金属(鉄)の接着です。ほうろうの密着は、ガラス(ほうろううわぐすり)と金属(鉄)の接着です。

鋼板ほうろうの断面(SEM)写真を下にしめします。鋼板の上にガラス層があり、下釉層と上釉層の二層で構成されるのが基本構造です。下釉は金属との密着を目的としたガラスで、金属との膨張係数のマッチングと密着のための界面層をつくりだすための CoやNiを含むガラスです。上釉は化学的性質や装飾性などを目的機能としたガラスでつくられる。また、ほうろうをつくるときは、あらかじめこれらのガラスを溶融してつくり、粉末にしている。このガラス粉をフリットとよび、更に、フリットを金属面に塗布し易いように加工した「うわぐすり」を金属表面に塗布したのち、加熱再溶融してつくるため、小さな泡が存在するのが特徴です。さらに、SEM写真で金属とガラス層の界面に着目すると金属表面に凹凸が観察できる。これが、ガラス層が強固に密着できる理由です。

ほうろうの断面SEM写真

ほうろうの製造プロセス

 

 代表として、ほうろうなベの製造プロセスを示します。

ほうろうの製造のプロセス-PDF

安全への取り組み

ほうろうの上手な使い方(家庭用品の使い方)

 

 ほうろう鍋、ほうろうやかん・ポットは家庭用品品質表示法が義務づけられています。

上手な使い方 ①

ホーローはガラス質ですから、ぶつけたり落としたりショックを与えないようご注意ください。


上手な使い方 ②

金属タワシ、ミガキ砂などのご使用は表面を傷つけますので、ご使用にならないでください。


上手な使い方 ③

こげついた時は、お湯などを入れてしばらくしてからスポンジタワシなどで落としてください。ナイフなどのご使用はおやめください。


上手な使い方 ④

 

空炊きはしないでください。

空炊きをしてしまった時は、水などをかけず、自然にさめるのをお待ちください。

 


上手な使い方 ⑤

使用後は、よく洗ってから乾燥させてください。


上手な使い方 ⑥

ストーブの上などにのせて長時間、沸騰することはお避けください。


上手な使い方 ⑦

表示容量は満水容量ですから、煮こぼれしないように、この容量以下でご使用ください


上手な使い方 ⑧

強すぎる炎は取っ手が熱くなってしまいますから、炎の大きさにご注意ください。


上手な使い方 ⑨

炒めもの、煎りもの料理にはご使用にならないでください。

Sマーク・認定マーク制度

 

 日本琺瑯工業会の認定マークは、SマークとIH認定マークの2種類です。

 Sマーク制度は加熱しないほうろう用品(例えば、容器、ボウル、バット等)について、安全に使用して貰えるように、JIS S 3012(家庭用ほうろう器物)に準拠した性能を有することを認定するマークです。

IH認定マーク制度は、近年、オール電化で広がったIH調理器具(IHクッキングヒータ)に対応するほうろう製品についての制度です。 IHの調理器具は、電磁誘導加熱(Induction-Heatingを略して IH としたもの)によりなべなどの調理器具を加熱するので、調理器には磁性が必要で、鉄や一部のステンレスを調理器の材料にするのが普通です。IH 販促のため無理に磁性を持たせた材質使用の調理器も見られますが、鉄ほうろうのなべやケトルがIH調理器用に最適なものとして利用されています。 日本琺瑯工業会は、ほうろうがIH調理器用として電気効率に優れた材質なので、消費者に安心してご使用して頂けるための目印として、認定マーク制度を設けました。このマークは2種類あり、IH が200Vの高出力用のものと、100V用とに分かれています。以前は100V用だけでしたが、電力会社が、配電電圧を2倍にすれば必要電力が半分で済み、熱損失が4分の1になるので、省エネ対策のもと200V化を推進しました。これで IH 機器メーカーは200V用と100V用を発売しております。
 200VのIH用は、高出力のため熱効率のよいほうろうでは短時間で温度が上昇し、うっかりすると空焚き状態になります。場合によってはほうろううわぐすりの軟化温度500℃以上に達し、IH 本体にまで傷つけてしまう恐れもあります。
 IH 機器は、温度センサーの取り付け位置などで機器の種類によりセンサーの安全機能の作動に差が見られます。空焚き防止や天ぷらなどでは特に温度管理の注意が必要です。機器メーカーの使用上の注意をお守り下さい。

日本琺瑯工業会では、会員が IH 用のマークを添付するための認定基準(IH調理器用鋼板製家庭用器物の品質基準)を設けています。基準には、使用鋼板の厚さ、底の形状、耐熱衝撃性等のほかJIS S 3012家庭用ほうろう器物の規定を準用しています。
 認定マークでは、200V用と100V用とでは使用鋼板の厚みに若干の差があります。そのほかには実質的な差はあまりありませんから200V用は100Vの IH に使用しても問題ありません。なお、IH 用でも従来どおりガス調理機器に使用できます。
 工業会でマークの認定の際、会員から品質及びPL保険の責任について保証させていますので、このマークの有無を調理器のお買い求めの目安として下さい。

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